今回から、全国で活躍しているしらはぎ会会員の医師によるリレーエッセイがスタートします。毎月、様々な専門医が、日々の診療の中で感じている事、新しい医学知識、病気予防・健康管理のアドバイスなど、一般の医学情報とは一味違う「仲間情報」を伝えてくださいます。
ただし、個別のご相談には応じかねますので、エッセイを読んで何か不安があった方は、お近くの専門医にご相談ください。

大きな悲嘆の中にある子供たちへのこころのケア
仁尾栄子(29回)
後藤佳子(24回)
後藤佳子(24回)
田北貴子(34回)
松永真美子(35回)
西脇雅子(25回)
野嶋秀子(24回)
後藤佳子(24回)
仁尾栄子(29回)
石井眞澄(26回)
後藤良重(32回)
深澤貴子(41回)
横山朝子(23回)
羽渕由紀子(33回)
成味知子(21回)
福地美保(31回)
清川悦子(37回)
藤井奈保子(31回)
片山由佳里(28回)
フロムM 
福地美保(31回)
仁尾栄子(29回)
石井眞澄(26回)
後藤良重(32回)
福地美保(31回)
横山朝子(23回)
成味知子(21回)
羽渕由紀子(33回)
藤本久実子(34回)
清川悦子(37回)
白川美也子(35回)
片山由佳里(28回)
福地美保(31回)
仁尾栄子(29回)
石井眞澄(26回)
後藤良重(32回)
内藤直子(24回)
横山朝子(23回)
成味知子(21回)
福地美保(31回)
福地美保(31回)
     



   

大きな悲嘆の中にある子供たちへのこころのケア

仁尾栄子(29回)
 
【小児科】

 悪夢のような東日本大震災から早くも一年が過ぎようとしています。
 我が家は仙台市郊外の高台にあるため、おかげさまで大きな被害はありませんでしたが、職場の施設•設備にひどいダメージを被り、慌ただしい日々を過ごしてきました。その上知人が何人も亡くなったり、あるいは奇跡の生還を果たしたものの一切を失ってしまったり、と精神的にもハードな毎日で、いまだに涙の出ない日はありません。でもやっと少しずつ、悲しい、辛い、むなしいといった涙から、未来への希望が持てる報道に接したりして流す温かい涙へと変わってきているように思います。
 大人の、しかも家族を亡くす、家を流される、といった大きな喪失体験をした訳でもない私でもこんな調子なのですから、親を亡くした子供たちの心理的ダメージはいかばかりでしょうか。
 被災地では、かなり早い段階から心のケアということに焦点を当てた活動が展開されており、特に大きな悲嘆の中にある子供たちに対しては、私の所属する小児科医会や仙台グリーフケア研究会、その他たくさんの団体がいろいろな方法で介入しています。そこで、今回は親を亡くした子供への対応の基本について、書かせていただくことにしました。

 まず、最も重要なのは、子供が安心して依存できる人、つまり親の機能を果たす人との関係性を構築することです。しかし今回の震災のように、残された片親、祖父母、親戚、学校の先生などの方々もまた被災者であり、大きな喪失体験の中で大変な生活をしている場合、子供を支える余裕がないこともあります。支援するときには、親代わりをする大人の方を含めて支援する体制が不可欠です。
 初期に見られる子供の反応としては、混乱、怒り、強い悲しみや落ち込み、赤ちゃん返り、分離不安など、子供の年齢や性格によって、実に様々です。何ごともなかったかのように振る舞うこともあれば、「良い子」になりすぎることもあります。いずれにしても、叱ったり、否定したりすることなく、子供なりの気持ちをしっかり受け止め、寄り添う態度が必要です。年齢に応じた表現の場(おもちゃをたくさん用意して好きな遊びをする、自由に絵を描く、同じ体験をした友達と話をするなど)を用意するのも効果的です。大きい子供には、泣いたり瞑想したりできる静かな場所も必要です。寄り添う人は、子供から話を聞き出そうとするのでなく、いつもそばにいるよ、気にかけているよ、というメッセージを出し続けるようにします。また、子供の「死」の理解は年齢やそれまでの経験によって様々ですが、信頼関係のある人が、誠実に向き合ってごまかさないで事実を伝え、わからないことはいつでも質問できる雰囲気を作ることが大切です。子供の気持ちへの配慮をしながら、できる限りはやく学校に通ったりお友達と遊んだり好きなことに没頭したり、といった元の生活を取り戻して行きましょう。少しずつでも笑顔になれることが増えるよう、年齢に応じた気晴らしの工夫も必要です。
 親代わりの大人を中心に、周囲から支えられていることを感じ取れれば、少しずつこころの傷からの回復がみられることがほとんどですが、初期反応があまりに強くて、死にたいなどの訴えがあったり、3〜4ヶ月以上たっても回復の兆しが見えないときには専門家への相談が必要と思います。
 
 気持ちに寄り添って支える、という基本は、子供のこころのケアに限ったことではありませんが、子供の場合には、特に年齢や発達段階に応じたアプローチと一番身近にいる大人への支援も不可欠であることに留意する必要があると思います。
 子供に関わる仕事をしていらっしゃる方に少しでも参考にしていただければ幸いです。


重症心身障害施設・エコー療育園  仁尾栄子(29回)

 



   

クリニックインタビューに行ってきました!
「健康でますます元気に過ごすために!」

後藤佳子(24回)
 
【小児科】

 しらはぎ会クリニックの新しい試みとしまして、今回はしらはぎ会副会長の福島朱美さんとご一緒に、浜松北高24回卒の間宮康喜先生のクリニックに行き、お話をうかがってまいりました。 以下、その内容です。

 女性は男性に比べて、中年以降心身ともに変化が顕著に現れやすいという特徴があります。男性にも更年期はありますが、女性は女性ホルモンが先に減って、LDLコレステロール〔悪玉コレステロール〕や総コレステロールの数値が上がります。これらは動脈硬化の引き金になるので重要です。中年肥満、わかりやすく言えば、内蔵肥満ですが、腹膜や肝臓に脂肪がたまります。内臓肥満の見た目の指標として、ウエスト(W)とヒップ(H) の割合があります。W/H比が1を越えるとおなかの脂肪が増えているので、0.9以下に戻すようにします。

逆流性食道炎とは食道と胃の括約筋がゆるんで胃から食道へと胃酸逆流することで起こります。また、太ることで腸管周囲の脂肪や肝臓周囲の脂肪が増えて、腹圧が上がるため、悪化します。前かがみになっていると逆流しやすくなります。女性はこの括約筋がゆるみやすいので、胃酸分泌を高めないような食事に気をつけます。また、おなかを圧迫しないようにします。やせることが重要です。

Q: 総コレステロール、LDLコレステロール値は血液検査でしか、わからないですか?

A: 数値は血液検査でわかります。首の動脈(頚動脈)を超音波で検査すると動脈硬化LDLの蓄積を見つけることができます。遺伝的な高脂血症のあるかたでは、アキレス腱が厚くなったり上まぶたに黄色の塊がある場合があります。

Q: LDLコレステロールを下げるにはどうすればいいですか?

A: @食事に関して
LDLコレステロールを上げないためには オリーブ油やなたね油を使うのはいいでしょう。
クリーム類、ショートケーキ、アイスクリームなどの乳製品由来のクリームや卵〔鶏卵、魚卵〕を控えます。卵の難しいところは フライ、菓子パン、うどん、そばのつなぎにも含まれているため、目に見えない『卵』があることなのです。卵は一日一個として、あと大切なのは食物繊維をとることです。食物繊維はコレステロールを下げる働きがあります。のり、わかめ、寒天、ひじきなど特に海藻系の繊維がいいのです。これらは、LDLコレステロールの腸管での吸収を妨げる効果があります。

A内服薬
クリームや肉の脂などどうしても食べたい方には保険適応ではありませんが、油を出してしまう内服薬があります。専門の先生にご相談ください。

Q: 女性ホルモン補充療法とコレステロールの関係についてはいかがですか?

A: 女性ホルモン自体がコレステロールを下げます。テープ剤の黄体ホルモンと卵胞ホ
ルモンの合剤があります。ホットフラッシュや多汗、手足の冷感がある方や骨粗しょ
症に補充療法をします。コレステロール値が20〜30位下がることがあります。

B運動に関して

Q: みんな元気で長生きが一番ですが、 どうしたらいいですか?

A: 筋肉が ちゃんとあることです。骨、皮膚、筋肉がしっかりしていて、W/H比を1以下にします。それで、生活習慣病はまず、起こらないでしょう。
筋肉は特に太ももと腰の筋肉、つまり 足の筋肉が重要です。大きく呼吸する体操やジョギング、ウォーキング、サイクリングで脚力を保つことです。

間宮先生、お忙しいところ、クリニックインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。 とても、わかりやすいお話で、本当に参考になりました。


後藤佳子(24回)



   

破傷風にご用心

後藤佳子(24回)
 
【小児科】

 東日本大震災が起こってから、まもなく4ヶ月が経とうとしていますが、被災地には瓦礫の山がいたるところにあり、ハエがひどく、環境はさらに劣悪になっているのをテレビなどで見るにつけ、復興はまだまだ程遠い印象を受けます。
 先日、被災地での病院の様子を報道する番組を見て、感じたことを記したいと思います。
津波による低体温(26℃台)の患者さんや水を吸ったのでしょう、咳き込んで呼吸困難をきたしている患者さんもいました。 
衝撃を受けたのは破傷風に感染していた患者さんでした。指腹の2ミリ位の浅い傷から進入した破傷風菌が原因で筋肉のこわばり、呼吸障害もあるのか、酸素マスクを当てていました。
 そこで、破傷風について、簡単ではありますが、まとめてみました。

1. 破傷風菌の芽胞から体内進入、発症まで

 土壌や動物の腸の中や糞便中に「芽胞」と呼ばれる形で存在しています。通常は休眠状態ですが、人の体に土などと一緒に傷の中に侵入して目を覚まし、活動を始めると破傷風の症状が現れます。潜伏期間は2日から50日で、菌から出た毒素が神経に結合して症状が出ます。感染部位から血液やリンパ液の流れに乗って広がるため、感染部位が神経に近いほど神経症状が速く出てきます。

2. 症状

全身倦怠感から始まり、あごや首の筋肉などのこわばり、口が開きにくくなります。
やがて、全身的な筋肉のけいれんを起こし、呼吸筋のけいれんが伴うと、呼吸や血圧の管理が必要となります。

3. 治療

 大量の水で流します。通常の消毒薬は効果がないので、すぐに、救急部門あるいは外科か、内科を受診します。刺傷の場合、物体を抜かないようにします。
 病院での治療としては、創を開いて洗浄、異物や組織の除去を行います。
早期治療として、体内に残っている破傷風菌に対して、「破傷風ヒト免疫グロブリン」投与をすることがあります。神経に結合した毒素は効果がありませんので対症治療しかありません。死亡率は20から50パーセントと極めて高いです。

4. 予防

 破傷風ワクチンの接種
 小児の予防接種スケジュールについては 国立感染症研究所感染情報センターの予防スケジュール表がありますので、ご参照ください。パソコンで検索できます。
11歳から12歳でワクチンの接種が一応終わりますが、その後、10年間隔で接種をするのが標準です。
※土壌や汚泥に触れることが多く、外傷が見込まれる場合は接種が必要ですので、医療機関に相談してください。

じめじめした暑い季節ほど、発症しやすくなります。
傷がある場合には くれぐれもご用心です。
なお、土いじりや片付けなどに使う手袋は皮製がベストと思われます。


後藤佳子(24回)



   

腎臓ー地味ですがとても大事な私達のパートナーです

田北貴子(34回)
 
【内科】

はじめまして。34回卒業の田北貴子(旧姓 織田)と申します。浜松医大を卒業後、腎臓内科を専攻し、現在は小学生・中学生の2人の子育てをしながら市内の透析専門病院に勤務しています。

このたびの大震災で被災された皆さまに、心からお見舞い申し上げます。薬もなく、大変な思いをされている方々の映像を見るたび、薬と聴診器を持ってすぐにでも駆けつけたい思いでいます。被災された皆さまが一日も早く安心できる日々を取り戻されますよう、心からお祈りしております。

被災地の透析患者さんの窮状が伝えられています。私の勤務する病院でも、いつでも被災地の透析患者さんを受け入れられる準備をしています。透析というのは慢性腎臓病(CKD)の最終段階です。今日はこのCKDについて、少しお話してみようと思います。

腎臓というと、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。腰よりも少し上の背中の両側にある、空豆のような形をした、長径10センチほどの臓器が、腎臓です。腎臓は尿を作って身体の中の老廃物を排泄する臓器です。腎臓の機能は高血圧や糖尿病などによって、少しずつ低下していきます。現在、高齢化や糖尿病の増加によって慢性腎臓病(CKD)の人が増え、日本全国で1300万人もいるといわれています。

腎臓が悪くなるとどんな症状が出るのでしょうか?尿毒症になって透析が必要になるということをご存知の方も多いかと思います。腎臓の機能が正常の10分の1くらいになると、透析が必要です。ただ、そうなるまでは、ほとんど自覚症状がありません。気づいたときには末期腎不全で透析目前、ということが起こりえるのです。そして、CKDになると、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患も非常に起こりやすくなることがわかってきています。

では、どんなことで腎臓病に気づくことができるのでしょうか?尿検査での尿蛋白や、血液検査でのクレアチニンの上昇によって、腎臓に問題が起こっていることがわかります。健診や何かの理由で受診の際に、このような異常があれば、ほっておかないで専門医を受診することをお勧めします。

高血圧や糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞、がんはよく聞く病気、でも腎臓病はあまり縁がなさそう。。。と思いがちですが、実は日本人の8人に1人はCKDなのです。そして、500人に1人が透析を受けています。早めに気づいて適切な治療を受ければ、その進行を止めたり遅らせたりすることができます。自分で気をつけられることとしては、減塩や禁煙、適切な血圧管理があります。1年に1回は健診を受け、異常があれば、専門医を受診するようにしましょう。

家事や育児、仕事など、皆さま忙しい毎日の中で、ついご自分の健康管理は後回しになりがちなのではないでしょうか?歯や目、心臓や脳とともに、腎臓も大事にしてくださいね。


田北貴子(34回)



   

老健ってこんなところです

松永真美子(35回)
 

 はじめまして、35回卒の松永真美子と申します。
しらはぎクリニックの原稿は、郷愁の念から、ついお受けしてしまったのですが、ホームページをよくみてみたら、大先輩の投稿ばかりで、かなり萎縮してしまいました。読者の皆様の求める内容とは違うかもしれませんが、「介護老人保健施設(老健)」について御紹介させていただきます。

 私は、千葉県南房総市千倉町という外房の町に住んでいます。千倉町は、あわび、伊勢えびが名産で、今は「お花」の季節です。東京の真冬に、千倉では花が咲いているということで、東京方面から多くの観光客が訪れます。緯度は浜松とほぼ同じで、気候も似たようなものと思います。南房総市、館山市、鋸南町、鴨川市(亀田総合病院の所在地)を併せて安房(あわ)地域といい、人口13万7000人、高齢化率32.9%(2010.4)、ほぼ三人に一人が65歳以上という高齢化の進んだ地域です。
主人が、医院とともに、居宅介護支援事業所、訪問看護・介護ステーション、デイサービスセンター、老健、グループホーム等の介護事業を行い、在宅医療に取り組んでおります。私は、そのうちの老健の医師として働いています。

 老健というのは、介護保険三施設{特別養護老人ホーム(特養)・老健・療養型病床}の中の一つで、特徴は、介護を必要とする高齢者に、リハビリテーションを行って、自立を支援する施設です。老健では、多職種が連携して、高齢者を支援します。実際、私たちの老健には、医師、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、鍼灸マッサージ師、管理栄養士、介護支援専門員、社会福祉士等、様々な専門職がいて、それぞれの専門的見地からケアプランを立て、実践します。
老健は、施設のなかでも「在宅復帰施設」「在宅療養支援施設」の役割を担っています。終の棲家とされる特養とは異なり、病院と在宅の中間という意味で、中間施設といわれています。例えば、脳卒中や大腿骨骨折等で急性期病院に入院し、治療は終わり、病院からは退院してよいと言われても、以前の生活とは違って車いすでの退院となる場合、いきなり家に帰るのには不安があります。このような場合、いったん老健に入所して、3か月位の期間でリハビリを行い、一方、家側も向い入れの準備を整えて、在宅に復帰します。これが、目指すところなのですが、帰れない場合も多く、全国的に、在宅復帰率が低いのが現状です。
老健が提供するサービスのひとつにショートステイがありますが、これは、普段は、在宅で介護を受けながら生活している高齢者が、一時的に入所することができるサービスです。介護者の負担を軽減するためにも利用することができます。私たちの老健では、このショートステイ用のベッドを多く確保し、特に、他施設では受け入れてもらえないことの多い胃瘻栄養、経鼻栄養、在宅酸素療法、インスリン注射等の医療処置の必要性のある方を、積極的にみさせていただいています。通所(デイケア)でも、リハビリとケアを積極的に行い、在宅療養維持のための支援を行っています。

 老健では、常勤医がいることが義務付けられていますが、日常的な医療が介護保険に包括され、老健入所中は、医療保険が使えません。一日平均8000円〜9000円の介護報酬(約6割が人件費)で、介護と医療を賄わなければなりませんので、高価な薬が使いにくい状況です。例えば、認知症の薬アリセプトは、10mg錠が764円(薬価)かかります。軽症から中等症の認知症に有効とされていますので、要介護1や2の高齢者に内服して頂きたい薬ですが、介護報酬は7000円〜で、そこから捻出することは困難です。老健で、認知症の薬物治療ができないことは、大変な問題です。
また、入所中は医療保険が使えないという特殊な状況が、社会的に認知されていないので、入所契約時に御説明しても、そのうちに、御本人・御家族に忘れられてしまうことが多く、また、病院・医院の医師や会計係にもほとんど知られていないので、トラブルを招きやすいです。歯科受診のみは、ほぼ普通に医療保険が使えますが、処置後の抗生物質や鎮痛剤等の処方は、老健側で行うことが義務付けられています。高齢者ですから、歯のみならず、目も悪くなりますし、耳も悪くなります。別の内科的疾患を来たすことも当然ですが、入所を継続しつつ自由に通院することはできません。制度的にできないのですが、なかなか理解が得られず、老健の医師として、最も不合理を感じている点です。

 以上、老健の特徴、および問題点について書かせていただきました。
介護サービスにはいろいろありますし、施設にもいろいろあります。親や配偶者の介護に直面した時、戸惑うことが多いかと思いますが、その人の人生の最後を、どこで、どのように過ごさせてあげたいかを熟考の上、それを支えるためのサービスを御選択・御利用されることをお勧めいたします。


松永真美子(35回)



   

お医者さんへの上手なかかり方

西脇雅子(25回)
 
【内科】

 こんにちは、初めまして、今回初めて投稿させていただきます。25回の西脇雅子と申します。現在浜松市で内科を開業しています。
 初めて新しいお医者さんを受診する時、ドキドキしますよね、ちゃんと自分の状態が伝えられるだろうか、言いたい事が分かってもらえるだろうか、こわくないだろうか、って、普段より血圧がとっても上がってしまう方もいます。でも、ドキドキしているのは患者さんだけではありません。初診の患者さんを診る時には医者だってとても緊張するものです。初診の患者さんをみるときだけでなく、日々の診療の中、こうしたらもっとうまく病気の事が分かって治療も的確にできるのになあ、って思う事があります。患者さんにとっても、医者にとっても双方に助かる事かと思いますので、つれづれに列記してみます。

1)自分の服用している薬を持参してゆく。
 慢性の疾患にかかっていて、常に服用している薬のある場合には必ず持参していってください。糖尿病や高血圧症などでA病院へかかっていて、風邪をひいてB医院へかかる場合、風邪とは関係ない薬だろうと思って、薬を持参されない方がほとんどです。でも、薬によっては一緒に飲まない方が良い薬もあり、糖尿病や高血圧症の薬はとてもたくさんあるので、病気がわかってもどのような薬をのんでいるのか、はわからないため、実物もしくは説明書、もしくはお薬手帳を持参される事をお勧めします。また、風邪が長引いて最初の医院と違う医院を受診する時なども、これまで服用してきた薬の情報があると、『どの薬が効いてどの薬が効かない、この薬の効きが悪いからこんな疾患か』など、診断治療のよいヒントになります。
 まず、もっとも大切な事は、『必ず医者(歯医者も含め)を受診する時には服用中の薬を必ず持参してゆく事』と考えます。

2)自分がもらった検査結果は捨てないで大切に保管しておき、必要に応じて受診の際、持参する。
 最近ではさまざまな病院や医院で、検査の結果をいただけるようになりました。また、健康診断も多くの人が受けており、その結果は必ず本人の元に届けられます。それらのデータは御自身の健康のために宝物のように大切なものです。決して捨てたりしないようにして下さい。検査結果、というのは、もちろん大きなまとまりとして正常範囲がありますが、その個人としての平常時の値、というものがあります。例えば、体調不良で当院を受診され血液検査をした際何らかの異常値がでた場合を考えてみましょう。その場合、『これまでの平常時はどうだろう、また、この異常値はいつからあるのだろう』、などを知る事で、診断を正しくつけられる事があります。その時にとても重要なものがその方の過去のデータになります。ですから、この大切なヒントを捨ててしまうなんて、とってももったいない事になります。ぜひ、大切に保管しておいてください。

3)自分自身の病歴をまとめておく。
 既往歴の多くある場合、また、慢性疾患で通院中の場合など、何年何月(もしくは何歳)にその病気にかかったのか、また、いつから治療中なのか、などを簡単にまとめておき、どのような症状で受診する場合にでも受診の際には持参する事が望ましいです。このようなまとめを持参していただけると、医療側では大変助かります。今回受診された症状が、一見慢性の通院中の疾患と関係ないように見えても、実はそれと関係している場合もあり、また、手術既往が腹痛の原因になっているなど、既往歴から、現在の疾患の診断がついてゆく事もあります。
 なかなか、難しい事かもしれませんが、小さな手帳を医療機関受診用に用意して、受診記録(受診日、検査内容など、また説明をうけた時には簡単な内容など)を簡単に書き留めておくだけでも大変役に立つと思います。

第1報としてこんな事をつれづれに書かせていただきました。
2011年の初めに、皆様のご多幸を祈念して。


西脇雅子(25回)

 

   

手作り石けんのこと

野嶋秀子(24回)
 

 皆様 こんにちは.
 大学卒業と同時に,静岡県立大学短期大学部の前身である静岡女子短期大学に職を得,化学担当教員として現在も働いています.既に30年を越しました.この間毎年200人を超す新しい学生を受け入れてきました.大方が18あるいは19歳の女子学生です.男子は5%に満たない数だと思います.ずーっと見続けてきて,「このごろ一寸変わった?」と思うことがあります.それについて書いてみます.
 毎年全ての学生と話をするわけではありませんので,話さなくても気付くことです.それは,近年皮膚に何らかのトラブルを抱えた学生が入学してくるようになったことです.これは男子学生も含めて言えることです.トラブルの程度はいろいろです.非常に軽い状態から,重症と言われている状態まで様々です.30年前には殆ど見たこともない現象だったのが,現在では毎年5ないし6人の学生が見られます.比例的に増えているとは思えません.急に増えているように思えます.
 このような学生に手作り石けんの作り方を教えます.石けんはオリーブオイルあるいは椿油入りの石けんの作り方を化学の講義の一環として教えます.これらの油がヒトの皮膚に最も良いであろうと考えるからです.すると,例外なく「石けんがとても皮膚に優しい」と言います. そして,手作り石けんのファンになってくれます.

【石けんと皮膚との関係について】

現在市販されている浴用および化粧石けんにおいて,使用後に皮膚に刺激感があると表現されることがあります.この表現のなかには,皮膚がカサカサになる(使用後乾燥する),ぴりぴりした感じが残る(刺激がある),皮膚にしわが寄る,突っ張る感じが残る(乾燥する)ことがある等が含まれます.この皮膚への刺激感の原因は様々なことが取りざたされていますが,大別すると次の2つであろうと考えられます.

a 皮脂を取り去りすぎてしまう.
 高温多湿の国日本では,清潔志向が進みすぎた結果,皮膚を温水中で石けんを使用してごしごし洗うことに慣れ過ぎ,皮膚表面にある皮脂膜を取り去りすぎてしまうということが起こっているのではないかと思われます.皮脂膜もまた皮脂(トリおよびジアシルグリセロールや皮脂酸)と皮膚表面の水分が乳化した状態の均一膜であるので石けん等の界面活性剤溶液に会えば,膜が壊されて洗い流されてしまうことが起きます.その結果,突っ張り感が残ったり,カサカサした感じ=潤いの無い状態になってしまうのです.このことは油性汚れが石けんを使えばよく落ちることからも,想像できることです.皮脂膜は汚れではなく,皮膚表面にあって皮膚を保護するためのものですので,これを取り去りすぎてしまうことは避けなければならない.そのために,さらに皮膚に塗布するもの(乳液,クリーム等)が必要となっている状態があります.

b 添加物の有無
 現在手元にある市販浴用および化粧石けんの包装容器を見ると,石けん素地の他に,様々な物質が添加されていることが記載されています.例えば,乳化安定剤,保湿剤,変質防止剤,着香料,着色料,防腐剤,界面活性剤,殺菌剤,消炎剤,油性分等です.商品価値を高めるためにそれぞれの目的をもって添加されるこれらの物質が,果たして本当に人間の皮膚に何も影響を与えないでしょうか?皮膚の性質も千差万別であると思われます.大方の人に対しては安全であっても,ひと握りの人に対しては負荷があることもあるのです.

 以上の2点について,不完全ながらも答を与えるのが,手作り石けんです.けん化度85〜95%の手作り石けんは,本当に「皮膚に優しい」のです.私は幼い頃よりずっと市販の石けんを入浴時に使えば,使用後に皮膚に刺激感があり,痒みや痛みがあったものでした.ここ数年間は自作の石けんを入浴時に使用しています.ものの見事に消えました.石けんが「融通無碍」なのです.石けんにこの形容が妥当なのか疑問ですが,暫く前にテレビで肌着の広告で「自由」という形容があったと記憶しています.「束縛が無く,もっと自由」という意味において有効なのかなと思います.この経験は今のところ個人の感想と言わざるを得ませんが,「少しでも皮膚に問題点をお持ちの方は試してごらんなさい.」と言いたいと思います.
 手作り石けんは次のような理由で皮膚に優しいのだと思います.

aについて
 けん化度を90%前後に抑えてあるので約10%の油脂が残り,皮脂膜をたとえ全部取り去ったとしても,すぐに皮膚表面を油脂が覆ってくれます.このごろ風呂上がりにオリーブオイルを塗るスキンケアがあります.それと同じことです.

bについて
添加物は加えなければ,皮脂膜の取り去られた皮膚に刺激を与えることもありません.
手作り石けんについては次の本を薦めます.
前田京子著,「オリーブ石けん,マルセイユ石けんを作る」,飛鳥新社(2001)..

以上


野嶋秀子(24回)



   

ちょっと気になる

後藤佳子(24回)
 
【小児科】

 今年の夏はとにかく暑いですね。2100年には気温は上昇し、4度近く高なると予想されているから 恐ろしいです。花を植えようとしても石がゴロゴロ詰まっている土地の土を、入れ替えて植えた花、日々草が今年の猛暑をものともせず、元気に咲いています。
 ある日のこと、それを見た妹が「きれいな花には毒があるんだよね」と言ったので、半信半疑でインターネットで検索してみたのですが。日々草から抗がん剤が作られていたのを知り、驚きでした。まさに30年以上前私が医者になってまもなく、白血病の患者さんに注射をした薬でした。それから薬草や毒のある薬草に興味を持ちました。
 栃木県のこころみファームでは西南の斜面にブドウ畑が広がっています。ここのワインがなんと沖縄サミットの晩餐会で各国のVIPの皆さんにもてなされたのです。作り手はここで寮生活をしている自閉症のお子さんや障害をもった方がたです。ぶどうの皮を丁寧に取り除くので、味がいいのだそうです。このぶどう畑の周りにはバラの木が植えられています。何故かなと思ったら、80歳を超えた園長先生が、「バラに虫がつく頃になったらぶどうの木の消毒を開始するのです」と教えてくれました。
 ちょっと気になったことを書きましたが、花を観賞するものと捉えず、役に立てるのもなかなか面白いなと感じます。
 医療の面でも、《ちょっと気になる》はとても大事です。検診も然りです。私は小児科医ですが、お母さんのちょっとした一言をだいじにしています。2歳頃の幼児のおなかはポンポコリンなのですが、それが最近大きくなったと言うお母さん、超音波検査をしてみると、おなかの腫瘍でした。触れるものあり、やはり、腹部の腫瘍でした。 
 言葉で訴えたりできない小児でも、表情でわかります。何か、気になるとか、ちょっと、様子がいつもと違うのに気づくのが大切な事です。
 しらはぎ会クリニックでは 原稿を募集しています。体に関することや健康に役立つ情報などなんでも構いません。原稿は卒業年度の代表の方にお送りください。


後藤佳子(24回)



   

人は役割を持って生まれてくる

仁尾栄子(29回)
 
【小児科】

 私の職場である重症心身障害児施設では、毎年1月に成人祝賀会が盛大に行われます。今年の新成人は4名。みな、普段と違う雰囲気に戸惑いの面持ちで、礼服や振袖に身を包み、神妙な顔。祝辞と記念品をいただいて、「生い立ちビデオ」の上映もあります。担当として関わってきた職員が精魂こめて編集した感動作で、涙あり笑いあり、毎年大好評です。最後に当人たちに代わって、親御さんたちにご挨拶をいただくのですが、人生最初の20年間に、すでに生きるか死ぬかの修羅場を何度もくぐり抜けてきた方々ですので、二十歳を迎えた感慨を語ってくださるお言葉は、それぞれに重く、深く、いつも胸にじーんと沁みこんできます。今年はその中でも一人のお父様が語ってくださったことが、いまだに心に残り、ことあるごとに反芻しております。

 重度の仮死状態で生まれた息子は、何とか命を取り留めましたが、半年もつかどうか、と言われました。たとえ半年でも、と精一杯育てていたら、いつの間にか半年過ぎ、一年過ぎ、何度ももう危ないと言われながらもついに今日の日を迎えることができました。多くの人に支えられたおかげと本当に感謝しています。家にはこの子のほかに2人子どもがいますが、小さいときから母親が昼夜分かたずこの子の世話をしているのを見て育ってきたので、とても心優しい子供たちになりました。我が家はこの子のおかげで気持ちがひとつになり、家族としてまとまっていられるのだと思います。この子は寝たきりで何もできないけれど、家族の中でそういう役割を持って生まれてきたのだと思います。

 そのような内容のお話でした。私は、何も生産性がないと思われがちな重症心身障児の生きる意味をこのように捉えてくださったことに、非常に感銘を受け、家族の中でゆるぎない存在感を持っている彼は、この上なく幸せな人生を送っているのだと確信しました。
「人はそれぞれ役目を持ってこの世に生を受けている」―――――このことを、混沌とした世の中で生きている意味を見出せずにいる人々に、彼ら彼女らは、身をもって示してくれているのかもしれません。


重症心身障害施設・エコー療育園  仁尾栄子(29回)



   

ホクロやシミ取りの落とし穴

石井眞澄(26回)
 
【皮膚科】

 最近、田舎の皮膚科である当科にも“このホクロ取ってください。”とか”このシミ、なんとか薄くしたいのですが・・・”等で来院なさる患者さんが増えています。プチ成形とまではいきませんが、いわゆるホクロ、シミ取りです。
 近年、シミ取りやホクロ取りも進んできてレーザーでうまく取れるようになってきました。(ただ、シミに関しては、うまくゆかない事も、ままあります。)レーザーで取るというのは、光線のエネルギーで、シミの、色の組織やホクロの組織を壊し、ゴミのようなものにして飛ばしてしまうのです。
 実は、このホクロ、シミの中に皮膚癌が潜んでいる事があるのです。基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色種と言われるものです。前二者の基底細胞癌、扁平上皮癌は、3mmから1cmほど離して取ることになっています。例えば、シミやホクロが、直径5mmあり3mm離し切除したとすれば、5+(3×2)=11となり直径11mmの大きな皮膚の欠損が出来てしまいます。シミ、ホクロに見えた癌が、しっかり取りきれていれば、この二者について転移は稀ですので、取ってしまえば一応安心です。皮膚の欠損は、形成外科の先生がちゃんと治してくれます。しかし、悪性黒色腫に至っては、転移もしやすく治療もなかなか大変です。
 では、どうすればよいのでしょうか?黒いもの、特に真っ黒なホクロ、シミは要注意です。その形がでこぼこだったり、色がにじみ出てきたりするものは、早めに皮膚科などに見てもらったほうがよいと思います。真っ黒いものだけでなく、白いホクロだと思っていたものが急に大きくなり、実は基底細胞癌だったこともありますので、急速な大きさの変化や、白いホクロも油断できません。少しでも、悪性が心配なら、安易にレーザーで治療せず、しっかりとメスなどで、切ってもらい組織を確認するのがよいでしょう。シミ取りホクロ取りも良いのですが、癌が混じっている事があることを思い出してください。


石井内科皮膚科医院 内科 石井英正:皮膚科 石井眞澄(26回)



   

女性医師の働き方に関するアンケート

後藤良重(32回)
 
【内科】

 こんにちは。遠州病院内科の後藤良重です。今年も原稿を書かせていただくことになりました。少し長いですが、しばらくおつきあいください。
 静岡県の医師の人数は全国で下から数えて一桁の順位にあります。対人口比でいうと人口10万人あたり168人、全国平均は211人です。ですから、このところずっと医師不足のニュースが流れています。もちろん全国的にも医師不足です。因みに、EU諸国の平均では人口10万人あたり300人の医師がいるそうです。
 先日、現在私が所属する学会から、学会誌とともにアンケートが送られてきました。女性医師の働き方に対するアンケートでした。ああ、この頃は恵まれているなあ、と思いました。
 私が医師になった頃は周りは男性ばかり。女性が一人前の医師として認められるには、男性より優れていて当たり前、周りに個人的なことで迷惑をかけるなんてもってのほか。という調子で、女性医師の待遇を考えてくれる組織は有りませんでした。自分の働き方は自分で考え、回りの様子を見て、なんとか最低限の摩擦ですむように工夫するしかなかったのです。私が妊娠、出産で休んでしまっても、交代要員が用意されているわけではありませんから、2回とも自分で、幸運にも少し時間に余裕があった先輩、後輩の女性医師に頼み込んで外来業務だけは交代でお願いすることができました。このお二人には今でも本当に感謝しています。
 しかし、今や医学部の約半数を女性が占める時代ですから、就職先の病院も学会も、女性を無視はできません。つまり当然のことながら、若い女性の医師が赴任する→そのうち結婚する(多くは同業者の医師と)→ご主人の転勤について行っていなくなる、又は、妊娠、出産して長期休暇に入る。ということを覚悟しなければいけないのです。困るのは、こうして休暇に入ってしまった女性医師が、職場復帰しないことです。そのために医師不足が起きていると言っても過言ではありません。職場復帰しない理由は大きく2つあると思います。第一に、医学の日進月歩の発展はめまぐるしく、長期に休んでしまうと、自転車に乗るように、“いつでもまたできる”というわけには行かなくなるのです。第二に、“子供が小さいうちは働く時間を短縮しよう”と思っても、何年もの間、入院患者を持たない訳にはいきません。同じ科に多くの医師がいる場合は別ですが。日本は主治医制ですから、入院患者さんがいる場合に、時間切りで責任を他の医師に任せることはできないでしょう。ましてや、ただでも医師不足の県では困難です。
 しかし、これでは女性医師自体が迷惑になってしまうので、自分たちで自分たちの地位を下げない努力が必要です。アンケートの中身からすると、学会で長期休暇後の女性医師の再教育プログラムを作ってくれそうですし、長時間預かってくれる保育所を各施設に設けてもらう要請も多く出ています。これらを大いに利用しましょう。(私の場合は、市内唯一の夜中までやっている保育園と、私の両親、主人のおかげで子供が育ちました。)男性陣は、仕事上、プログラムされていなかったことに対応するのが苦手のようで、事後報告するのはとてもいやがられるますが、いつ頃○○するので、○ヶ月休みますが、○○の条件でいつ頃復帰します。と始めに言ってしまうと、とても素直に受け入れてもらえます。後は、女性医師の個人個人が自分の休暇を取る権利ばかりを主張せず、周りの男性陣と(実は他の女性医師とが大切)うまくコミュニケーションがとれれば良いと思います。周りの人々の協力あってこそということを忘れずに!


JA静岡厚生連 遠州病院内科 内分泌 後藤良重(32回)



   

日々雑感@当直

深澤貴子(41回)
 
【外科】

 皆様はじめまして。41回卒業の深澤貴子と申します。バックナンバーを拝見すると40回以降の卒業生からの投稿はなく、先輩方のお話を拝読しながら若輩者の文章を掲載していただいてよいものか・・・と悩みつつ書いております。
 現在私は天竜川を隔てて浜松市の東隣にある磐田市の市立病院の外科に勤務しております。いわゆる「地方」の「医療崩壊」に直面している公立病院です。といっても静岡県西部地区、特に浜松市近辺は全国的にも病院銀座と呼ばれるほどで、救急対応も専門分野別の高度先進医療も可能な病院が軒を連ねてはいますが・・そのような浜松とは近くても遠く、広大なエリアに市立病院ひとつ、夜間救急はその病院だけという正しい?日本の地域医療の姿を保持しています。実は今も当直の合間に書いております。今日は救急車3台のみで比較的静かな病院です(今丑三つ時)
 日常診療をしていて感じるのは、地域的な問題もあると思いますが、救急でも一般外来でもご高齢の方や、一人暮らしで介護や自宅での生活援助をお願いできる方がいない患者さん、こういう方はたいがい入院しないとどうしようもない状況まで受診されず切迫して救急車で来院され入院すると自宅に帰ることができないことが多いのですが、が増えてきていることです。また経済的問題で治療を開始するまでに困難があったり、好むと好まざるにかかわらず治療を中断せざるをえなかったりする患者さんも最近増えてきました。核家族化とか不景気とかいろいろなものを背景にしていると思いますが、病院という小さな窓からみえる事象だけでも、日本はこれで大丈夫なのかなと感じることがあります。
 何かとりとめない話になりました。当直していると愚痴っぽくなって、ちっとも仲間情報@医学にならなかった気がします。ご寛恕下さい。


深澤貴子(41回)



   

子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)について

横山朝子(23回)
 
【小児科】

 子宮がんは、婦人科領域・悪性腫瘍の中で、乳がんに次いで多い癌です。子宮がんは、発症部位により2つに分類されています。子宮体部に発生する”子宮体がん”と子宮の入口(膣内に触れる部分)に発生する”子宮頚がん”です。このうち子宮頚がん(扁平上皮癌)の発現に、HPV(ヒトパピローマウイルス)が関与しています。ヒトパピローマウイルス:HPV(Human Papilloma-Virus)は、ヒトの皮膚や粘膜にイボをつくるウイルスのひとつです。その中で特にHPV−16やHPV−18などは、発がん性が高く、発がん性HPVと呼ばれています。その二つのウィルスの感染を予防し子宮頚がんの発症リスクを減らすワクチンが子宮頚がん予防ワクチン(サーバリックス)です。日本では、グラクソ・スミスクライン社から 昨年12月22日に発売されました。

 発がん性HPV被爆は、決して珍しくはありません。成人であれば、通常の性生活で少なからず感染するといわれています。HPVに感染したからといって、特に症状はありません。感染者の多くは、無症状に経過します。ほとんどの感染は一時的で、2〜3年程度で感染部位からHPVが消失してしまいます。HPVが持続感染を起こした場合、8〜10年以上をかけて、異型性粘膜上皮に移行します。発がん性HPV感染者の中で、1,000人につき1〜2名が子宮頚がんを発症すると考えられています。海外では世界96カ国で小学生や中学生の女子に接種し子宮頸がんの発症を予防しています。

 子宮頸がんは性交経験のある女性なら誰でもなる可能性があります。日本国内の子宮頚がん発症者は、年間約8,000人です。前癌病変を含めると、約1万5千人が子宮頚部の悪性リスクを毎年発症しています。子宮頚がんによる死亡者数も年間3,500人と決して少なくありません。特に20〜30歳代女性の癌の中で、子宮頚がんは最も有病率の高い悪性腫瘍で近年急増しています。理由としては、昔に比べて早い時期から性交渉をもつ女子が増えたことがあるでしょうか。ある統計では女子高生の70%位は経験ずみだそうです。母性を担当する重要な年代で、母性機能の一部を失う可能性が大きく、予防と早期発見が大切になってきています。

 一応10歳から予防接種できますが、遅くても中学卒業までには打つのがいいかもしれません。もちろんそれ以上の年齢のセクシュアルアクティビティのある全ての女性が対象です。接種回数は合計3回で、第0月、第1月、第6月の間隔で上腕部の筋肉内に注射します。一般に、日本では、予防接種は皮下に注射しますので、それより深い所にうち、少しだけ痛みがあるかもしれませんが、案外それ程でもないと思います。私の診療所は産婦人科もやっていますので、何人かの方に接種させていただきましたが、特に問題はありませんでした。実は私自身も、うちました。もちろんどんな予防接種もごくまれに、副作用がでる場合もありますので、するしないはご自身が決めることです。あと、若者への性教育として、HPV感染だけでなく他の性感染症のリスクを減らすには避妊具を使うことを奨励しなくていけないかもしれません。ただ若者のがん予防にはかなり効果があると考えられていますので接種する意味はあると思います。ただし、他の原因のよる子宮頚がんには効果がないので、検診は受けてくださいね。産婦人科にはなかなか行きたくないものですけどね。
興味のある方はネットで、子宮頚がんワクチンとかallwomen.jpで検索すると詳しくのってます。

 同窓生の皆さん、健康に気をつけて、楽しく元気に長生きしましょうね。


横山朝子(23回)



   
方言
羽渕由紀子(33回)
 
【眼科】 

 みなさまこんにちは。2回目の登場です。33回卒業で、大まかに言うと、高校卒業後、東海→関西→東北と移動し、現在秋田在住の眼科医です。今までの人生を振り返ると、方言がひとつのキーワードとなっています。 生まれたところは京都で、なんの違和感もなく関西弁を話していたのでしょう。ところが自分が方言を話していることを強烈に印象づけられたのが、小学生で京都→東京に転居したときです。「ピアノ」という言葉を関西調に話したことから、田舎者のレッテルを貼られ、よそ者扱いされたのです(お笑いタレントが全国放送で関西弁を話す今の時代なら逆に憧れの人になれたのに!)。しかし子どもというものは適応能力がありますから、ほどなく関西弁は消え、美しい関東弁を話すようになったその矢先、浜松への転居!中学1年生の時でした。「・・・だら〜?」、「・・・だに〜!」「ばかすごい!」という強烈な遠州弁に度肝を抜かれたのを覚えています。しかし、ものの数年で自ら遠州弁を操るようになっていました。中学、高校、大学と浜松で過ごし、医者となって、榛原総合病院へ赴任したとき、日常診療での患者さんとの会話で、地元の方言が多く登場し、その微妙なニュアンスがわかりにくいことに初めて気付きました。浜松ではあまり使われない「せつない」という言葉が主訴(病院を受診するきっかけとなる症状)でよく登場しました。痛いのか、苦しいのか、悲しいのか・・・一体何なんだ!それがわからなければ次へ進めないではないか!悲しくも、子どものような適応能力が著しく低下し、地元の方言にすんなり溶け込めなくなっていました。
 その後関西に転居し、関西弁での診療となりましたが、この時は子どものときに身につけていた方言は何十年後も生きていたようで、あまり困る事もありませんでした。
 人生で一番苦労したのは、海外で病院実習に行ったときの英語での診療ですが、それを除くと間違いなく今の秋田での診療です。私が初対面の患者さんに「今日はいかがされましたか?」と尋ねたとします。そうすると、意外な返事が結構な確率で返って来るのです。「いかがされましたか?って具合わりーから来たんだべが(具合が悪いから来たのに)」、といきなり怒られ口調(本当はあまり怒ってない)となったり、私の言っている内容そのものが理解されていない場合もあり。逆に私の方が予想すらできない会話が始まって面食らったり。たとえば、いきなり「おれよ〜、まなぐさ、いてーんだもの!こっつがいちばんだあ(私の目が痛い、こちら側が特に、ちなみに女性の口調です)」、と意味がわかるだけ、大した成長です。今は少なくなりましたが、最初の一言目から何を言っているのか全く想像もつかないこともありました。逆に、秋田の人からすれば、いきなり医者から「今日はいかがされましたか?」とは普通は言われないよ、とスタッフから笑われています。秋田なら、「今日は何とした?」の一言でいいのだそうです。病状の説明もくどくどは、特に老人には不評です。極端にいけば、「まずよ〜、なんともね〜がら、くすりっこさやるがら〜(とにかく、なんでもありません。おくすりを出しておきますね)」でいいのです。そうすれば「んだ〜!たいしたいがったな〜、まんずゆっくりした〜(そうですか、大変良かった、ほっとしました)」とにこにこ帰って行きます。私はまだこの領域に入りこめてはいませんが・・・世知辛い都会の医療現場とはちょっとかけ離れたほのぼのした世界ではあります。いいのか悪いのか???

 

羽渕(市山)由紀子(33回)



   

あけましておめでとう

成味知子(21回)
 
【眼科】

 明けましておめでとうございます。今年は寅年、私も年女で還暦を迎えます。
 トラは食肉目ネコ科の動物です。今や、絶滅の恐れのある動物としてワシントン条約で取引規制がされているのが現状のようです。同じネコ科でも今、益々繁栄しているのはイエネコ種だけです。ネコとトラの違いはといえば、ネコの耳先は三角だが、トラの耳先は丸い。ネコの瞳孔は楕円形だが、トラの瞳孔は円形。そして一番の違いはその大きさです。トラの大きさについては江戸時代の御伽草子の中の“猫の草紙”にこんな話があります。「猫である自分は、あの、インドや中国でおそれられているトラの子孫です。日本は小さな国ですから、体もそれに合わせて渡来しました」と。トラの最大種であるアムールトラは380kgにも達することもあるとのことです。一方、イエネコは通常3〜5kg、最も我が家の11歳になる小次郎君は名前こそ小次郎ですが、体は大次郎、9kg超級で座る姿はまるで狸です。こんな肥満のネコを除けば、イエネコの最大種は、よくカレンダーに登場するメインクーンで10kgになるそうです。
ところで、前回のしらはぎ会クリニックで紹介したネコのようちゃんは(昨年秋、私のクリニックの前に捨てられた子猫です)今や我が家の7匹目の住人?住猫として元気にしています。今もって、何故一匹だけ捨てられたのかわかりませんが、一年が過ぎ、ようちゃんはびっくりするくらいよく食べる、そして温和な性格の静かなネコになりました。実はようちゃん、大きくなるにつれ長毛、首周りにはラフが見られ、どうもその姿はかわいいメインクーンそのものです。もしそうならば、既に5.4kgある体重は9kg超えの10kgになるのでしょうか?でもトラになったらどうしましょう!我が家のネコ達は、“我らイエネコ、トラにはならぬ!ノンキなイエネコのままがいい!”と悟っているようです。
 政権交代に慣れていない日本の2010年、“雲は竜に従い風はトラに従う”となりたいものです。「成語林:立派な聡明な君主のもとには、優れた臣下が出現しこれを助けるという例え」

 追伸:動物由来感染症という病気があります。これは、狂犬病や重症急性呼吸器症候群(SARS)などのような動物と人間の間で自然に感染する病気のことです。これは、交通手段の発達による人間や輸入動物を含む動物の移動の増加や、土地開発に伴う自然環境の変化によって人間と動物の接触の機会の増加が起こっていることが背景の一つとなっていると考えられます。日常生活で注意をすることは以下のようなものです。

★犬の狂犬病予防注射と登録を行う
★ペットとの過剰なふれあいは控える

細菌やウイルスなどが動物の口や爪の中にいる場合があるので、口移しで餌を与えたり、スプーンや箸の共用はやめる。
手洗い、うがいの励行をする。
知らないうちに唾液や粘膜に触れたり、傷口などに触ってしまうこともあるので、必ず手を洗う。動物には病気を起こさなくても、人には病気を起こす病原体がいることがあるので。

★動物の身の回りは清潔にする。
飼っている動物はブラッシング、爪切りなど手入れをして清潔にする。
小鳥や鳥かごなどはよく掃除をして清潔を保つこと。タオルや敷物、水槽などは細菌が繁殖しやすいので、こまめな洗浄が必要。
★糞尿は速やかに処理をする。
鳥やハムスターなどの糞便は乾燥すると空中に漂い、吸い込みやすくなるので、室内で鳥などを飼育するときには換気に心がける。  
★砂場や公園で遊んだら手を洗う。
動物が排泄を行いやすい砂場や公園は注意が必要。特に子供の砂遊び、ガーデンの草取りや土いじりをした後は、充分に手を洗う。
糞をみつけたら処理をする。
★野生動物の家庭での飼育や野外での接触はさける
野生動物はどのような病原体を保有しているか分からないので、むやみに触れない。

もし、動物由来感染症の病原体に感染しても、動物は無症状なことがあるため、知らないうちに飼い主が感染してしまう場合があるようです。ペットの定期検診を受けるなど健康管理に注意し、病気を早めに見つける必要があります。

ナルミ眼科 成味知子(21回)




   

一年早っ☆

福地美保(31回)
 
【消化器外科・内科】

 一年って本当に早いもので、ついこないだ次男の入学式当日の桜の塩梅を気にしていたのが、もう時すでに浜松では紅葉も見納めとなり、温暖化の影響でホントに師走?!と思えるポッカポカ日和の中、夜ともなればそこここにクリスマスイルミネーションが煌めく今日この頃である。手帳を確認すれば、11月中旬のボジョレーあたりから、週末の予定がおおむね各種大小宴会で埋め尽くされるのを見るにつけ、今年もそろそろ終わりを迎えていることを実感する。

 先日もクリスマスにかこつけた食事会があって、毎年のお約束となったその会では、気の置けないかつてのママ友たちと弾け飛んだ。長男の小学校時代に知り合い、当の息子は既に成人式を済ませる年齢で、思えば10数年来の付き合いになる。知り合った当時はまだまだアラサー気取りだった私たちも、今となっては観念してアラフィフを認めざるを得ない容姿と言動に開き直る毎日である。お酒の飲み方も年を重ねるごとに確実に変化してきた。宴会の最初から最後までビール一辺倒だった20~30代前半のオネエサンは、アラフォーになり、早く酔えるしトイレに再々立ちたくないからと焼酎やウイスキーの水割りを好むようになり、さらに年を重ねてそれらをロックでクイクイ楽しむようになった。毎年毎年同じように早々と過ぎていく一年だが、着実に、時は刻まれ経験値は積まれ足跡を残してゆく、といったところだろうか。

 先月は誕生月で、いよいよ生まれて半世紀経過!にリーチがかかったわけだが、2年前くらいからやっと一日一日を大切に感謝の気持ちを忘れずに過ごしていこう、と心底思えるようになってきた。仕事も子育ても一段落して心にゆとりができたからかも知れない。それまでは前しか見ていなかったし、一日を振り返る時間的、精神的余裕が全くなかった。そんな私が今とても気に入っている言葉がある。今だからこそ深いナ〜としみじみ思える一節をご紹介しよう。

一日だけ
幸せでいたければ
床屋へ行け
一週間だけ
幸せでいたければ
車を買え
一ヶ月だけ
幸せでいたければ
結婚をしろ
一年だけ
幸せでいたければ
家を買え
一生
幸せでいたければ
正直に生きろ


 正直に生きる、一見周囲を疾風怒濤に巻き込んで関係者各位に多大な迷惑を及ぼしそうに思えるこの言葉だけれど、自分にとっても周りにとってもこれが一番自然体でありかつ責任の重い生き方だとつくづく思う。

皆さま どうぞよいお年を。

福地美保(31回)

医療法人正圭会
福地整形外科消化器科医院
菊川市青葉台1−2−3
TEL 0537−35−3232



   

科研費の季節

清川悦子(37回)
 

 こんにちは。このコーナーは2回目になりますが、相変わらず診療はせずに研究しかしていないので、研究にまつわることを少し紹介させて頂きます。

 金木犀の香りがすると、科研費(かけんひ)の季節です。科研費とは、「補助金」の略で、大学などの研究機関に所属する研究者が個人またはグループで行う研究に対する補助金で、税金から集めた資金を、文部科学省・および独立法人日本学術振興会を通して、交付される仕組みになっています。
日本学術振興会のHPに行ってみますと、
http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/index.html
「科学研究費補助金は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を 格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。」と書いてあります。
 具体的には、申請書はマイクロソフトのWordの雛形が文科省HPからダウンロードできるようになっていて、それに埋め込んでいきます。内容は、研究の目的・達成されることによって得られる利益(金銭面というよりは、学術的に有益か、というようなこと)、研究計画、資金の使途、自分のこれまでの業績(この5年間論文をどれだけ出版してきたか)などを10ページ程度で作文します。最近はIT化が進んで、ほとんどがインターネットで申請を行います。大学などの所属機関の事務が記載事項をチェックした後、役所に送られ、しかし、ここからは何故かアナログで(ムダ削減の第一候補ではないかと思うのですが)役所が申請書類をすべて印刷し、審査委員(大学の現役教授など。任期制)に配布され、採点され、合否が決まるというものです(この審査の過程がピア・レビューと呼ばれます)。
 年齢や分野によって金額・研究期間に幅があり、学位を取得したばかりの2−30歳代の若者は、大抵「若手」、私のような中堅研究者は「基盤」あるいは「萌芽」などという名前の研究費に応募します。研究室を運営する教授や部長ならば、構成員の人数に応じて年間数千万円から億単位の研究費を獲得してこなくてはなりません(金策に走る企業の社長風?)。採択率は、2−3割という低さですから(それとて申請額の満額でることはほとんどない)、これ以外にも厚労省・科学技術振興機構などからも公募があれば応募して、研究室を継続していきます。昨今は、政策も頻繁に変わるために制度も一定せず、長期の計画を立てるのが難しい状況です。特に今回は、政権がこの時期にかわったために、公示内容が変化し、締め切り数週間前に応募取り止めとなった研究費枠すらあります。前代未聞の出来事です。
 研究業界も一般社会の動向と大差なく、格差社会になってきていて、それが問題となっています。誰もが知っているセレブ研究者から、使い捨て実験器具も再利用する貧乏研究者まで、色んな人がいます。人間は弱いものですから、競争させないと頑張らない、という考えが、競争資金方式にしているのだと思いますが、これが定年までずっと続くのか…と思うと、ちょっとな〜と思うこともあります。最後はまたボヤキ(?)になってしまいましたが、元は皆さんの税金ですから決して無駄にはしないように、どの研究者も努力していますが、皆さんも税金が正しく使われているかチェックする権利があります。そのため(?)なのかはわかりませんが、データベースも出来ています。ご参考までに。

 

 
京都大学 大学院医学研究科 病態生物  清川悦子(37回)



   
高血圧にご用心
藤井奈保子(31回)
 
【内科】

こんにちは。はじめまして。31回の藤井奈保子です。
先日、当HPの催物情報にも掲載されていた同級生の講談師田辺一邑さんの真打披露興行に行ってきました。講談を聴くのは初めてでしたが、とてもよかったです。リズミカルな語りに引き込まれ、時に笑いあり、遠州灘に引っ掛けて(でしたよね?)なんと母校校歌の一節まで美声でご披露下さいました。(さすが元合唱部、音程も完璧!)
これからは地元でも時々ご公演下さるとのこと。次回も楽しみです。皆様も是非お運び下さいませ。

今回は高血圧について基本的なことを少しだけ(?)お話したいと思います。

*高血圧とは?
一般には診察室血圧140/90mmHg以上を高血圧と診断します。最近普及してきている家庭血圧の基準はそれよりも低く135/85mmHg以上とされています。
なお、この血圧をいくつくらいまで下げたほうがいいのか、は年齢や他の疾患の有無(心臓病、腎臓病、糖尿病など)によって違います。

*なぜ治療するのか?
頭痛、肩こりなど訴える方もいらっしゃいますが、症状の無い方がほとんどです。
適切な治療を行わないままでいると、心臓や血管に負担がかかり、動脈硬化が進行し、やがて心筋梗塞、脳卒中、腎不全等の重大な病気になりやすくなってしまいます。そうならない為に、血圧をコントロールする必要があるのです。

*“血圧の薬は飲み始めたら一生止められないからできるだけ飲み始めたくない”とおっしゃる方がいますが・・・
それはちょっと誤解です。確かに慢性の病気ですので、結果としてずっと飲んでいただく必要のある方が多いのは事実です。
しかし、肥満やストレスが増悪因子だった場合、それがなくなると血圧が下がり内服の必要がなくなる方もいます。減塩に気をつけて下がってくる方もいます。また、冬は高くて薬が必要だが、夏は薬がなくても大丈夫という方もいらっしゃいます。 (経過を診ながら適宜主治医が内服薬を調整しますのでご相談下さい。くれぐれも自己判断で“血圧が下がった!”と治療を中止しないで下さいね。)
いずれにしろ、重大な病気を引き起こさないように、早めからの適切な血圧のコントロールをお勧めします。

*高血圧早期発見のためには?
理想は全身の健康チェックのために毎年健診を受けていただくのがお勧めです。取り敢えず血圧だけチェックしたいという場合は、もし家庭用血圧計をお持ちであればご自宅で時々測っていただくのもよいでしょう。あるいは手軽な方法としては、最近よく目に付く家電量販店や薬局等の店先の血圧計で試しに測ってみるのはいかがでしょうか?緊張していたりして本来の血圧を反映していない可能性もありますが、参考にはなります。もし、いつ測っても高ければ(概ね140/90mmHg以上)是非一度ご近所のかかりつけ医受診をお勧め致します。

なお、最近では家庭血圧が非常に重要視されるようになってきました。診察室の血圧よりも家庭血圧のほうが重要という報告も多いようです。かといって、数字に一喜一憂する必要はありません。人間生きている限り血圧は時々刻々変化していて当たり前です。全力疾走すれば血圧は140mmHgを超えて当たり前。いつ測っても高い傾向にあるかどうか、ということが重要なのですから、そのつもりで測っていただきたいと思います。

多少なりとも皆様の健康保持のお役に立てれば幸いです。
 
内科 藤井奈保子(31回)

 

   
夏の終わり 母校のひとこまお伝えします。そして「飛蚊症」
片山由佳里(28回)
 
【眼科】

早いもので、長―い梅雨がやっと明けたと思っていたら・・・
もう、夏の終わり。
この夏、次男は、私達の母校の例の運動会の準備にあけくれて います。今日も、先ほど、はダンボールの山を、クリニックより学校へ運び届けました。我が家は、北高より、徒歩15分圏内ですので、学校での作業終了時刻以降は、我が家(正確には、隣の祖母宅)が作業場となり、連日何人もの子供達が、遅くまで作戦会議をしたり、作業をしています。私は、仕事を終え帰るなり、おむすびをにぎったり、おもちを焼いたり、から揚げを・・・
主人が、カレーやシチューに腕をふるったり・・・
「もう!大変!」などと言いながら、結構楽しんでいます。
みんな、ものすごく「いい子」だから・・・
今、大学2年の長男の時もそうでした。春の学祭準備の頃から、運動会まで。もちろん、こんな事してる時間とエネルギーを受験勉強に使ってよ!と思わないわけではありません。
全国区で戦うのですよ、受験は。

それでも、なんだか大変な世の中・・・
産業医の話をききますと、超一流の大学、大学院と進み、超一流の企業に勤めながら、 何かに、どこかで、つまずいてしまい、仕事ができない、仕事どころか、人生を楽しめなくなってしまっている人がとても多いのだとか・・・
それを思うと、今、こんなふうに夢中になれる事があり、多くの仲間と共にまさに『青春』してるこの子たちならば、何があっても、なんとか乗り越えていけそうだわ、などと思ったりもするのです。そして、母としての私を、なだめ、諦めさせるのです。受験勉強は、運動会が終わってから!
・・終わったら、ほんとうに勉強してくれるのかなあ?

閑話休題

このコラムは、「しらはぎ会クリニック」でした。
何か、少しお役にたつことを・・・では、今日は、いわゆる「飛蚊症」などいかがでしょう。
「飛蚊症」とは、視野の中に蚊が飛んでいるように見える症状をいいます。蚊といいますが、それは時に、ほんとうに蚊のようだったり、黒い小さな点々や、ひものようであったり、半透明のアメーバのようなものだったりします。大部分の飛蚊症は、加齢による「生理的飛蚊症」で、治療の対象にはなりません。ただし、時に、網膜に小さな穴や破れ目があったり、出血が起こっていたりします。こういった場合は、治療が必要です。しかも、早く! 網膜の穴や破れ目は、小さいうちであれば、レーザーでの治療が可能です。外来での治療ですむでしょう。ところが、放っておくとそこから網膜剥離を起こすこともあります。網膜剥離となると、手術が必要ですし、黄斑部という、物を見る中心まで剥がれてしまうと、元の視力は、戻りません。ですから、「飛蚊症」は、ぜひ一度眼科にて、検査をお受け下さい。散瞳検査といって、点眼薬を使って、瞳を大きく開いて検査を行います。4〜5時間、散瞳状態が続きますので、まぶしく、ピントが合いません。車での受診は、控えたほうがいいでしょう。
「飛蚊症」が急にひどくなった!(点々の数が多くなったり、蚊どころか、すみを流したようにゆらゆら黒い影がみえる)とか、視野の一部が、影になっていたり、水の中のようにゆらゆらしている!などいう時は、何をおいてもすぐ眼科受診をなさってくださいね。

長男、次男と母校にお世話になり・・・
彼らの日々の学校生活をみながら・・・
あたかも、ついこの前、私も!などと感じているこの時間・・・

懐かしく、幸せな・・・
来春次男が卒業して・・・お・わ・り。
老けないようにしよっ!

 
浜松市中区高丘北1-9-10(高丘浜信北へ100m) かたやま眼科 片山由佳里(28回)