第10回 蓮根
蓮根は奈良時代に鑑賞用として仏教と共に渡来し、食用品種は鎌倉時代に導入され在来種となりました。
蓮根にはデンプン質が多いので、熱に弱いビタミンCが失われにくく、またムチンという糖タンパク質も含まれているので、胃腸に優しく疲れた時には有効です。
蓮根は沼地で生まれたとは思えないほど白く美しい食材(地下茎)です。
酢煮にしてシャキシャキと食べるのがおいしいのですが、歯が弱くなった主人は「もう固いのは駄目」というので、すりおろして大好物のうなぎを芯にして饅頭にしてみました。
蓮根饅頭(碗盛、清汁薄葛仕立)
作り方
材料(6人分)
鰻の蒲焼き
・・・
1匹
蓮根
・・・
1節(300g)
・・・
小1/2
片栗粉
・・・
大1
卵白
・・・
1個
だし
・・・
4C
・・・
小1
薄口醤油
・・・
小1
みりん
・・・
小1
片栗粉
・・・
小1
いんげん
・・・
3本
生姜
・・・
1かけ
 
① 鰻は12切れにする。
② 蓮根は皮をむいて酢水に晒し、おろし金でおろして、その中へ塩と片栗粉を入れ混ぜる。
③ 卵白は固く泡立て②の蓮根にさっくりと混ぜる。
④ 小皿6枚に1人分2切れの鰻を置き、上に③の蓮根をこんもりとのせ7~8分中火で蒸す。(じょうよ饅頭のように丸くおく)
⑤ いんげんは塩茹でして細長く切る。
⑥ だしに吸い味をつけ、とろみをつける。(片栗粉は同量の水で溶く)
⑦ 碗に熱い鰻の蓮根饅頭を盛り、いんげんの細切りをのせ、熱々の汁を張って、おろし生姜をのせる。

 

~小話~
長野と山梨の県境、諏訪郡富士見町あたりの2~3Km範囲に井戸尻遺跡群があります。その一角、小高い丘の上の井戸尻考古館は 前方に甲斐駒ケ岳や鳳三山(ほうおうさんざん)、左手に富士を望む景勝の地に建っています。
館内には手ひねりとはとても思えないような素晴らしい縄文土器が整然と陳列されており圧巻です。
また、館を下ると、昔も今も湧水が満ちあふれ、人々はこの沢に添って生活していたのでしょう。
写真のハスの花はここで撮影した埼玉蓮(さきたまはす)です。7~8月に花が咲き、花びらが落ちると蜂須となり、中には種が入っていて、乾燥するとカラコロと音がします。この種は昔から不老長寿の薬として珍重されています。茶懐石では炉開きや初釜の箸洗いに使ったりします。

※蓮根は浜松市西区でも取れますが、茨城県土浦市が有名です。
蓮根には10個ぐらいの穴があいていることから「見通しが良いから食べなさい」と母に言われたものです。
現在も縁起物として、おせち料理や秋祭りの御馳走など慶事に使用されています。