その3
ここで予定時間になり、高木会長に司会が戻ってQ&Aタイムになりました。 高木:何か質問のある方は? はい、そこの学生さん。 
学生:東大卒の先輩にうかがいます。受験勉強をのりこえるポイントを教えてください。
重子:受験勉強ですか。私の場合、あんまり受験勉強をしなかったんです。そう言うと「ウソだろう」って言われちゃうんですけどね(笑い)。高校へ入った時に「楽して勉強してやれ」と思ったんですよね。そこで、当たり前のことだけど、予習と復習をしっかりしたんです。
とりあえず、前の日に、次の日に授業をしそうな部分を予習するんですよね。たとえば英語なら、新しく学ぶ部分をノートに、4行ぐらいあけて、書き写
します。まず新しい単語にアンダーラインを引いて、文中の意味を調べて書きます。新しい単語は、ノートの下に単語欄を作って、そこにも書きます。そちらは文中の意味だけではなく、すべての意味、類語、関連語、前置詞の使い方など、その単語に関連するすべての情報を書くようにします。空いている行には、全文の意味を書いたり、関係している文法を書いたり、とにかく、その文章を理解するのに必要な情報を全部ノートに書き込むわけですよね。同じようなことを、翌日の時間割にしたがって、どの科目も予習をするんです。そうやってしまうと、もう全部理解できちゃうから、翌日の授業は高見の見物気分。授業中に何を聞かれても平気だから。
復習は、そのノートをもう一度読んで、フンフンと理解したら終わり。
こう話すと大変そうだけど、翌日分の全科目を予習しても、せいぜい二時間か三時間でやれましたよ。
試験の前は、自分のノートをフンフンと読んで、それで終わり。簡単です。
受験勉強もこのノートを活用したので楽でした。
あとはね、私はものを食べることが好きだから「ここまでやったらあのケーキを食べるぞ」みたいなごほうびを自分で考えてがんばったんです。食べることだけではなく、ここまでやったらテレビを観るぞとか、がんばったら何か自分が好きなことをしようと決めてやるといいかもしれませんね。自分をおだてたり、つったりすると、結構がんばれますよ。
もう一つ、受験直前の勉強法として、試験の10日前ぐらいからするといいことがあります。試験の日と全く同じカリキュラムで生活するんです。朝起きる時間も試験当日と同じ。朝食も同じ時間。試験会場と同じ時間に同じ科目の過去問題を解くんです。休み時間も試験当日と同じだけとって、全くホンチャンと同じようにするんですよね。全部終わったら答え合わせをしてみて、間違えた場所だけ確認して、夜はがんばりすぎないで早く寝ちゃう。
こうやって身体のリズムを試験当日に合わせて慣らしておくと、試験の日に上がらず落ち着いてできますよ。同じ学力があったとすると、この方法で試験のリズムに馴れていた方が、そうしなかった人に較べて、絶対によい成績がとれると思います。ぜひ、ぜひ試してみてください。
高木:他にありませんか? じゃ、そちらの学生さん。
学生:高校の勉強の意義について悩むことがあります。先輩はどうでしたか。
重子:高校で勉強してすごく役だったのは語学。何よりもありがたいと過去の自分に感謝してます。あとは家庭科と体育(笑い)。食事を作れることや自由に動けることが生きていくことの基本だから。
それ以外は、あまり覚えていないけど…。もちろん、音楽専攻だったから、それは役だっていますよね。会場の皆さんはどうですかぁ(笑い)。
でも、秩序立ててものを考えることとか、情報を集めて組み立てることとか、情報を記憶するということは、勉強以外にも役立つことが多いですよ。じつは、歌うときにも、そんな能力が役立っているんです。
とにかく、その時に一生懸命やったということは、人生にとって意味のあること。私の場合、本当に一生懸命にやってみて、その結果
、法律に向いていないとはっきりした時、歌手への道をみつけたんです。いいかげんにやっていたら、歌を歌うことがこんなに好きだとは気づかなかったと思いますよ。その時々を一生懸命に生きて40歳になったら、やりたいことが増えてきました。今になって、興味のあることが増えたんです。 
最初はうまく歌いたいとそればかりを考えていたんだけど、だんだん心の底にある魂の声を届けるにはどうしたらいいかと考えるようになったんです。
自分がよい歌を歌うとはどういうことかと考えると、自分の生活まるまる歌になって出てしまうとわかってきたんです。では、自分の生き方の中でどうすればいいか。自分が幸せになるには、そして、周りの人も幸せになるに、どうすればいいのか。周りの人が幸せになってくれる方が、お得なんですよね(笑い)。周りが不幸せで、自分だけが幸せなんてありえないから…。
今までの40年間に、すごくたくさんの周りの方に、いろいろなものをもらってきました。そのおかげで、自分の中に蓄積されたものを、心から恩返ししたいという気持ちが私の中にあるんです。皆さんに見える形で還元していけたら、と思っています。
高木:学生さん以外の方でどなたか。 あっ、お願いします。
観客:重子さんの情熱の源は何ですか。
重子:それが私にもわからないんです。
不思議なことだけど、やるぞっ! と思うと、すぐにくたびれてしまうんです。疲れたなぁと思っていると、また力が出てくる。学んだものを捨てた時に、力が出てくるような気がしているんです。
悩んだり、元気になったりすることが生きていること、なんじゃないかしら。生あるがゆえに…。命の源のようなものは、つかめないですよねぇ。
高木:最後にもうお一人。 はい、学生さん。
学生:私たち高校生に伝えたいことはありますか。
重子:しいていうと、今のありのままの姿で、すごく楽しく過ごしてくれればいいなぁ、と思います。
私は、問題意識が強い高校生で、あまり楽しく高校時代を過ごせなかったんですよね。特別
にりっぱになろうと思わなくても、その時にやりがいがあって楽しいと思うこと、朝「これやりたいなぁ」と思い、夜「やっておもしろかったなぁ」と思う生活をしてほしいですね。
高木会長の中締めのあいさつの後、10分間の休憩。
第2部 「歌」
Couse
I love You : 重子さんが好きなオリジナル曲。
花 :重子さんお気に入りの癒しの曲。
あなたへ : 重子さんの姪御が初めて立って歩いた時の感動を曲にしたオリジナル。
アメージング・グレース:
高木さんリクエスト。
ふるさと : 重子さんが母校でぜひ歌いたかった歌。
HAND IN HAND(会場の参加者と合唱):
重子さんのオリジナル
重子さんとピアノ伴奏の渡辺かづき氏に花束贈呈
校歌斉唱 ピアノ伴奏は北高二年生の布田奈津子さん 合唱部参加
高木会長の閉会のことば
|
|