書名:[フジコ・ヘミング画集] 青いバラの夢
著者:フジコ・ヘミング
出版社:講談社 (本体1905円・税別)
感想:左足に障害がある方で、長年、悪い足をかばい続けたために良い方の右足の膝関節が悪化。動くと激痛を伴うようになり60歳をすぎて人工関節の手術をされました。その結果、人一倍のリハビリをしても歩行能力がもどらず、車椅子生活をよぎなくされるようになった知人から教えられた本です。
「最近は、もう、私の人生も終わったのかなぁ…と思う時もあったけど、この本に出会って『まだ捨てたもんじゃない』と思えるようになったのよ」と、久しぶりに聞く元気な声で紹介されました。 「読む」ほどのものではなく「眺める」だけで十分な本でした。
見ようでは「拙い」とも思える絵なのに、なぜか心に訴えるものがあり、絵の下の覚え書きのようなエピソードが、また心に響きます。
─ ヨーロッパを風のように彷徨(さまよ)い、人並みな幸せは薄かった私ですが、どんな時でも前を見続け、後ろをふり向いたことはありません。過去は変えられないのですから、未来をみつめ、今をしっかり生きていかなければなりません。この本でご紹介する数々の絵には、私の人生が刻み込まれています。未熟ですが、私の絵やエピソードから、安らぎと、生きる元気を得ていただければとてもうれしく思います。 ─(前書きからの抜粋)
絵のエピソード(改行は本のまま)
「六月の花」
今、パリの家には5匹の猫と1匹の犬がいる。
サン・ルイ島では4匹だったが、
住んでいるマレー地区のペットショップで、
可愛いキジ猫と出会ってしまった。それが「チョンチョン」
性格のいい子で、フレンチ・ブルのタギーととても仲良し。
夜は私のベッドでタギーとくっついて眠っているわ。
「ノクターン 2」
世界中で、多くの子供たちが飢えている。
おしゃれして楽しく暮らすのは大事なことだけど、
同時に、世の中にはすごい悲劇があるということを、
どうしても見過ごせないの。だから私は、自分だけの幸せに
酔うことはできないわ。みんな幸せになってほしい。
「古いカーテン 1」
古いカーテンには、異国でのたくさんの思い出がある。
朝、窓のカーテンを開けると、ぱっと気持ちが明るくなった。
ドイツのハンブルクの部屋に残されていた、
スウェーデン製の気品ある手作りのカーテン。 それは、今でも東京の家で掛けて大切にしているの。
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